熱中症予防指針

暑さ指数(WBGT)を活用しましょう

熱中症は急に暑くなる5月から増えはじめ、残暑の終わる10月頃まで発生しています。
厚生労働省・環境省をはじめ(財)日本スポーツ協会・日本生気象学会では、熱中症の発生リスクを抑える予防対策として「熱中症予防指針」を目安に暑さの状況を把握し、必要な予防措置を取るよう呼びかけています。
熱中症を予防するための指針は主に3種類あります。暑熱状況環境に応じた「熱中症予防指針」を目安に熱中症から体を守りましょう。

Aスポーツに関する熱中症予防のための運動指針(財)日本スポーツ協会

気温WBGT温度運動指針
35℃以上31℃以上運動は原則中止特別の場合以外は運動を中止する。
特に子どもの場合には中止すべき。
31~35℃28~31℃厳重警戒
(激しい運動は中止)
熱中症の危険性が高いので、激しい運動や持久走など体温が上昇しやすい運動は避ける。10~20分おきに休憩をとり水分・塩分をする。
暑さに弱い人(※)は運動を軽減または中止。
28~31℃25~28℃警戒
(積極的に休息)
熱中症の危険が増すので、積極的に休憩をとり適宜、水分・塩分を補給する。激しい運動では、30分おきくらいに休憩をとる。
24~28℃21~25℃注意
(積極的に水分補給)
熱中症による死亡事故が 発生する可能性がある。
熱中症の兆候に注意するとともに、運動の合間に積極的に水分・塩分を補給する。
24℃まで21℃までほぼ安全
(適宜 水分補給)
通常は熱中症の危険は 小さいが、適宜水分・塩分の補給は必要である。
市民マラソンなどではこの条件でも熱中症が発生するので注意。

※暑さに弱い人:体力の低い人、肥満の人や暑さに慣れていない人
(財)日本スポーツ協会(2019)熱中症予防のための運動指針 より

B労働者に関するWBGT熱ストレス指針の基準値表厚生労働省・環境省

WBGT基準値※1代謝率区分作業例
熱に順化している人※2熱に順化していない人
33℃32℃0 安静安静、楽な座位
30℃29℃1 低代謝率
 (軽作業)
軽い手作業や手及び腕の作業、腕及び脚の作業など。
立位で小さい部品のドリル・フライス盤作業、小さい力で駆動する機械作業など。
速さ2.5km/h以下で平坦な場所を歩く。
28℃26℃2 中程度代謝率
 (中程度の作業)
継続的な手と腕の作業や腕と脚の作業、腕と胴体の作業など。
軽量な荷車や手押し車を押したり引いたりする作業。
速さ2.5~5.5km/hで平坦な場所を歩く。
26℃23℃3 高代謝率
 (激しい作業)
強度の腕と胴体の作業、重量物の運搬、草刈り作業など。
重量物の荷車や手押し車を押したり引いたりする作業。
鋳物を削る作業、コンクリートブロックを積む作業。
速さ5.5~7km/hで平坦な場所を歩く。
25℃20℃4 極高代謝率
 (極激しい作業)
最大速度の速さでのとても激しい活動。
斧を振るう作業、激しくシャベルを使ったり掘ったりする作業。
階段を登る、平坦な場所で走ったり、7km/h以上で歩く。
  • ※1 日本産業規格 JIS Z 8504(熱環境の人間工学―WBGT(湿球黒球温度)指数に基づく作業者の熱ストレスの評価―暑熱環境)「WBGT熱ストレス指数の基準値」を基に、同表に示す代謝率レベルを具体的な例に置き換えて作成したもの
  • ※2 暑熱順化者とは、「評価期間の少なくとも1週間以前から同様の全労働期間、高温作業条件(又は類似もしくはそれ以上の極端な条件)にばく露された人」をいう。
  • ※3 (参考)休憩時間の目安:熱順化した作業者において、WBGT基準値~1℃程度超過しているときには1時間当たり15分以上の休憩、2℃程度超過しているときには30分以上の休憩、3℃程度超過しているときには45分以上の休憩、それ以上超過しているときには作業中止が望ましい。暑熱順化していない作業者においては、上記よりも長い時間の休憩等が望ましい。(※身体を冷却する服の着用をしていない等、特段の熱中症予防対策を講じていない場合。)

衣類の組合せによりWBGT値に加えるべき補正値
熱中症リスクの評価は、着衣の状況に合わせ下記の着衣補正値を加算して評価を行ってください。
衣服の組合せ着衣補正値(℃-WBGT)
作業服0
つなぎ服0
単層のポリオレフィン不織布製つなぎ服2
単層のSMS不織布製のつなぎ服0
織物の衣服を二重に着用した場合3
つなぎ服の上に長袖ロング丈の不透湿性エプロンを着用した場合4
フードなしの単層の不透湿つなぎ服10
フードつき単層の不透湿つなぎ服11
服の上に着たフードなし不透湿性のつなぎ服12
フード(フード付の場合は着衣補正値に加算する)+1

厚生労働省「職場における熱中症予防対策マニュアル」2021年版より(一部改変)

C日常生活における熱中症予防指針日本生気象学会

温度基準(WBGT)注意すべき生活活動の目安注意事項
危険(31℃以上)すべての生活活動でおこる危険性高齢者においては安静状態でも発生する危険性が大きい。
外出はなるべく避け、涼しい室内に移動する。
厳重警戒(28~31℃)すべての生活活動でおこる危険性外出時は炎天下を避け、室内では室温の上昇に注意する。
警戒(25~28℃)中等度以上の生活活動でおこる危険性運動や激しい作業をする際は定期的に充分に休息を取り入れる
注意(25℃未満)強い生活活動でおこる危険性一般に危険性は少ないが、激しい運動や重労働時には発生する危険性がある。

ここでのWBGTはその日の最高気温時の気温と湿度から推定されるものである。 
28~31℃は28℃以上、31℃未満の意味